(2014.3.7 tanakomo)

 

『ヨガを科学する』に関しての別の書き込みです。

この本をより知るために。

 

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参考文献は、ウィリアム・J・ブロード『ヨガを科学する』晶文社、です。(あ、この本持ってなくても大丈夫です。フナツがレジュメを作っていきます)

さて、おさらいです。
まず「プロローグ」から、

28p.「ヨガは巷に溢れている。とりわけ豊かで教養のある人々の間で著しい」

ここでは、アメリカにおけるヨガの現状として、さまざまな事例が紹介されています。

「身体を曲げたり伸ばしたり、深く呼吸したりすることが、現代の魂にとって酸素のような存在になっている」として新築マンションにヨガスペースが併設されたり、クルーズ船や南国リゾートはヨガインストラクターの顔ぶれで客を誘っているという状況。

高齢者向けでも児童向けでも、施設は無料のストレッチクラスを開催。ハリウッドスターやプロ野球選手もヨガをする。医師は自然治癒力を高めるためのヨガを推奨し、病院で、そして高校でも大学でもヨガクラスが実施されているそうです。

臨床心理士は「うつ」の対処にヨガを試すよう勧め、妊婦もヨガを、演劇学校でも音楽家が舞台に上がる前にもヨガで気分を落ち着けようとします。

ニューヨークでは地域によっては、数ブロックおきにヨガスタジオがあり、そして、今や世界のいろんな地域でヨガクラスに参加できる、とちょっと皮肉めいた口調で著者は書きます。

「かつてはごく少数の人々が行う秘儀であったヨガが、世界的な現象へ、そして心の平穏の普遍的な象徴へと姿を変え、とりわけ精神が張り詰めた都会人に受けている」

29p. 古来から伝わるヨガはテクノロジー無用、インターネットの膨大な情報による散漫さを中和してくれる一種の抗「文明」剤となっている現状。

かつての教会や修道院、神学校が大規模なヨガ施設に姿を変え、ホワイトハウスもヨガに入れ込んでいます(ミッシェル・オバマ大統領夫人も)。

カリフォルニア州に拠点を置く「ヨガ・ヘルス財団」は、アメリカのヨガ実践者数を2000万人、世界では2億5000万人超と見積もっているそうです。(スゴイ!)

「健康を増進させる活動の中で、ヨガは世界でも特に成長が著しい

30p.「健康や美容関連の雑誌には定期的にヨガの特集が組まれている」

そして「ヨガは文化的に無形なものでありながら、極めて有形な一大ビジネスでもある」のです。

マットやウェア、雑誌に書籍、ビデオ/DVD、リトリート(合宿)、クリームやヒーリンググッズ、シューズ、大豆スナックなど、ヨガのためのさまざまな小物が一大産業となっています。

「ヨガの純粋主義を標榜する人々は、ヨガと産業の結託を、かつての軍部と産業の密接な結び付きになぞらえている」」

そして、こんなことまで起こっています。

「ホットスタイルのビクラム・ヨガを創始したビクラム・チョードリーは、自身が定めた一連のヨガポーズに著作権をつけ、小さなスタジオに対して著作権侵害で訴えるという脅迫めいた通知状を何百通も顧問弁護士に送付させている。彼だけではない。米国ではヨガの事業家が何万件もの特許、商標、著作権を登録し、独占的な利権を強めようとしている」

実にアメリカ資本主義らしい・・・。グリード!

「商品市場のアナリストは、ヨガをロハスの一環と位置づけている

そう、ヨガ関連なら高額商品が売れる!!

31p. 「現代のヨガを旧来のものと隔てる1つの要素は、生業から高級なライフスタイルへの変容である」

ライフスタイルですね、ホント。

「1975年に創刊された業界随一の専門誌『ヨガ・ジャーナル』は、200万人とされるその読者数の87パーセントが女性であると述べている。同誌は、読者層の特徴として高学歴・高収入・高ステータスを挙げ、質の高さを誇っている」

しかし、こういう現状も知ってほしいと著者は書きます。

32p. 「ヨガには管理団体がない」

「ヨガの実践が真正なものであるかどうかや(中略)それに即した成果や効用があるかどうかを確認する手立てがない」

「消費者製品安全委員会や食品医薬品局に匹敵するものがなく(中略)確認する機関が存在しない」

そしてもっとひどいのが、

「ヨガの潜在的な効果を世間に示すことができれば莫大な利益につながるため、あの手この手の虚飾が行われている。見て見ぬ振りをすることや、誤った情報に嬉々として飛びつくことから、意図的に間違った内容を伝えることや真実を隠蔽することまで、さまざまな手口が横行している。その1つが、損傷や悪影響について口をつぐむことである。こうした沈黙は、経済優先の詭弁であることが多い

もちろん、ヨガをしたら気持ちいいというのは誰でもわかります。

「ヨガをしばらく続けた人ならば、その効用をスラスラと挙げることができる」

しかし、まさにフナツもレッスンではヨガの良さをいろいろ話しているんですが、考えてみるとものすごく広い範囲をヨガはカバーしていることになります。

32p. 「謳い文句は、健康、魅力、フィットネス、治癒、睡眠、安全、長寿、平和、意思力、体重管理、幸せ、愛、知識、性的満足、人格形成、充実など、人生の中核的な願望に訴えかけるもののほか、人間であることの証とはかけ離れたものまで千差万別である。もちろん、悟りを取り上げるものもある」

そして、この書籍が目指すもの、副題の「その効用と危険に迫る科学的アプローチ」につながっていくんですね。

ふう、とりあえずの「おさらい」でした。

 

 

 

 


二度目の記事アップです。

 

『ヨガを科学する』(2014.2.20 tanakomo)

 

副題が「その効用と危険に迫る科学的アプローチ」、ヨガの良さと、ヨガが孕む危険に関して書かれています。

はじめに、を引用すると、
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副題「その効用と危険に迫る科学的アプローチ」
著者は、ピューリッツァー賞を2度もらったジャーナリストで、ヨガのさまざまな事例を紹介、ヨガの実態に迫る。ヨガのプラス面とマイナス面が紹介されている。
***

ヨガを教えているインストラクターやヨギー&ヨギーニには知っておいてほしい事実がたくさん書いてあります。

最初に
・ヨガにかかわる主要人物(その中でも特に注目すべき人物)についての簡単な解説。

たとえば、
アイアンガー、インドラ・デヴィ、ワイントラウプ、エズラ・アムステルダム、グネィ、パタビ・ジョイス、クリシュナマチャリア、パタンジャリ、ビクラム・チョードリー、ヨガナンダ、ラーマクリシュナ、

そして、
・さまざまなヨガのスタイル
これは例を挙げるまでもなく、実にさまざまなヨガのスタイルがありますよね。
世界に目を向けたとき、またヨガの歴史などを習うときに、たくさんのスタイルがあって、何が何やらわからないことが多いです。

その中でも基本的なものを少々整理してから本題に入ります。

次に、
・ヨガに関する年表
特にエポックメイキングな年についての記述

ここで、ぜひ注意していただきたいのが(勉強会でも強調しましたが)ヨガってけっこう新しいってこと!!

「ヨガの歴史は何千年も前の・・・」なんて言ってる人が多いですが、正確には違う・・。

まず、フナツも講義しているし、みなさんもよくご存知の『ヨーガ・スートラ』、これは章ごとに成立年代が違うとも言われていますが、とても古い本ですね。ヨガのバイブル、ハンドブックと言われていますが、太陽礼拝もアサナも何にも出てこないです。

ましてやヨガが身体にいいとか、ヨガをするとすっきりするよ、なんてことは書いてない。
ひたすら「どうやったらサマディに至るか」しか書いてない。(乱暴な言い方ですいません、話が長くなるので、詳細はフナツに聞いてね)

以下の年表を見てもらうとわかりますが、私たちが知っている「ヨガ」が歴史に出てくるのはとても新しいのです。

それまでは、ヨガというのは、性の儀式、怪しい人たちがやっている修行、なんか知らないけど生き埋めにされても生きている人、などの、いわば大道芸人に近い人々というのがインドの普通の人々のヨギーに対する意識でした。

今、ヨギーと書いたのがわかりましたか?
そうです、インドでは古くはヨガは女性が(普通に人前で)やるものじゃなかった。

公的に女性がヨガを始めた、特に教え始めたのは西洋人によって、です。

あー、止まらなくなりそうなので、簡単に書きますが、私たちが知っている「ヨガ」はなんと20世紀に入ってからのものなんです。

本から年表を引用します。
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 400年頃 「ヨーガ・スートラ」
 600年頃 タントラ、女神崇拝、性の儀式、物質的利益
1200年頃 ゴーラクナートが、タントラの伝統と身体行法を融合させハタヨガを大成
1400年頃 スヴァートマーラーマが「ハタ・ヨーガ・プラディーピカー」を著す
1849年  ソローが自分はヨギーだと言う、西洋人がヨギーだと言った最初の例
1924年  グネィが、ヨガのイメージを向上させるためにアシュラム創設
1933年  インド南部マイソールのマハーラージャがクリシュナマチャリアを雇う
       宮殿でヨガスタジオを運営、クリシュナマチャリアの弟子が後にヨガのグル
1946年  ヨガナンダが「あるヨギの自叙伝」で心を読み、壁を透視する超人を語る
1953年  インドラ・デヴィが、ヨガで健康という目標を広く普及させる本を出す
1965年  アイアンガーが「ハタヨガの真髄」を執筆
2001年  イタリアの科学者らが、マントラによって心が落ち着くと報告
2002年  消費者製品安全委員会により、ヨガによる負傷の急増が判明
2008年  UCSのチームが、ヨガによってテロメーゼの産出が増加と報告
2010年  メリーランド大学がストレスの緩和などにおいてヨガは運動と同等と報告
       インドの科学者らが、ヨガに取り組む男女は性生活の向上ありと報告
***

少々分析的に書くなら、インド独立のためにインド文化を世界に広めようとした際に、そのひとつのアイコンとしてヨガが使われたという見方もできるのです。

それまでは怪しい儀式だったのが、西洋人から評価されたことで、インド人自身がヨガを見直そうという気持ちになったという見方もできます。(ビートルズも傾倒してましたよね)

インド人がヨガに注目し、たくさんの人(普通の人たち)がヨガをやるようになったのは、日本で言うと、ほぼ昭和の初めくらいからです。

ああ、いろんなことを書きたいのですが、長くなるので一回目はこのくらいで。

 

 

 

 


『ヨガを科学する』(2013.11.4 tanakomo)

 

これほど謎に包まれ、
誤りを指摘される心配なく、
好きなことを書ける分野はない。

J・K・タマニ(インドの学者兼科学者)
ヨガの曖昧さについて

以下にアップした本の扉に紹介されている文です。

ホントにそうだと思います。

私たちは日々、ヨガの良さばかり強調していますが、そのプラス面だけではなく、(普段は目を向けようともしていない)マイナス面も知っておかなくてはいけません。

この本は、アメリカにおけるヨガを取り巻くさまざまな事例の分析と研究をジャーナリストの視点から(もちろん筆者はヨギーでヨガの良さを知っているからこそ書かれた本なんですが)まとめたものです。

でも、400ページに近い分量と字ばかりの体裁なので読みづらいと思う人も多いかもしれません。

ということで(また宣伝かっ!)、勉強会で読んでみたいなと思っています。

さきほど、本名のほうにアップしましたが、こちらにも。

***
次回の「ヨガについてのあれこれ勉強会」時間変更&課題図書のお知らせ

以下の本を読もうと思っています。
私の周りのインストラクター(&ヨガに興味のある人たち)の間でも密かに読んでいる人が多いです。

場所:新明コミュニティセンター、2F、第4会議室
料金:¥500
日時:11月9日(土)16:00〜18:00(延長あり)
↑時間が変更になりました、少々遅くして、時間も長めにしました(前回あっという間に終わってしまったので・・)。

副題が「その効用と危険に迫る科学的アプローチ」です。

著者は、ピューリッツァー賞を2度もらったジャーナリストで、ヨガのさまざまな事例を紹介、ヨガの実態をさぐっています。非常に参考になる事例がたくさん。副題のごとく、ヨガのプラス面とマイナス面がたくさん紹介されています。

ちょっと目次を紹介しましょう。
最初に、
ヨガにかかわる主要人物、さまざまなヨガのスタイル、ヨガに関する年表、などの基礎知識の解説があり、そして以下、
1、ヨガで健康になれるのか?
2、ヨガでダイエットはできるのか?
3、ヨガで気分はリフレッシュするのか?
4、ヨガでの損傷のリスクは高いのか?
5、ヨガによる治癒は可能なのか?
6、ヨガで性的能力は向上するのか?
7、ヨガで芸術的才能は開花するのか?
など、興味あるトピックが並び、最後に、
ヨガの科学と歴史に関する推奨図書、参考文献と盛りだくさんです。

ヨギー&ヨギーニなら知っておくべき情報が満載です。

もちろん本を持っていなくても、読んでいなくても参加はOKです!!

一緒に勉強しましょう!
***

「ヨガの真実の多くは、明らかに科学の真実を超えている」
(296ページ、エピローグより)

良い意味でも悪い意味でもそうなのかもしれませんね。