柔らかめのビジネス本②

『企業参謀』(2012.11.27 tanakomo

 

でもってさっきの本の原本がこれです。新装版です。
1999年第1刷で、2012年で第24刷までいってます。

本の帯には「累計50万部!世界のビジネススクールで読まれる名著」とあります。

こちらは少々読みにくいです。
まずはさきほどの本をお勧めします。

 

 

 

 

 

『企業参謀ノート 入門編』(2012.11.27 tanakomo

 

ビジネス研修で使っている本をアップします。

現役で活躍中のビジネスパースン向けの本です。

「仕事には慣れた、でもなんか仕事ができているという実感がない」「社内では中堅どころだけど、最近何となく精彩を欠いて、埋もれているような気がする」「これ以上、上を目指すには、いまひとつ壁を感じる」という人たちにまず読んでほしいと思います。

もちろん「ビジネスの最前線で今まさに斬った張ったを繰り広げている、何か指針が欲しい」というバリバリの人にもお勧めします。

この本は、大前さんが30歳のときに書いた『企業参謀』(1975年)『続企業参謀』(1977年)をわかりやすく、若手ビジネスマンに向けて、そのエッセンスを学んでもらえるようにと書かれたものです。

出版元のプレジデント書籍編集部の「この本の刊行にあたって」から少々引用します。

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そこで今回、『正・続企業参謀』と、そこで紹介した手法を詳しく解説した『マッキンゼー・現代の経営戦略』を基に、大前理論を短時間で習得できる『企業参謀ノート・入門編』を大前氏に依頼し、ご快諾いただきました。この本は大前理論の基礎を学べるだけでなく、原典の『企業参謀』をお読みになった方々が再度、大前理論を復習したり、検索する上でも便利な構成となっております。(4ページ)
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この本は、徹底的に「戦略的経営とは」「戦略的思考を身につけるためには」を解説し、読者が理解できるように、図解や見やすいページ構成などの工夫がされています。

分厚いビジネス本が苦手な人でも読みやすくなっています。

そして至る所に大前さんの珠玉の言葉が・・

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ディシジョンが遅いのは、日本人の大きな欠点だ。長期的には「このまま行けばだめになる」とわかっていながら、短期的には「もう少し今のやり方で、現状を凌いだほうがいい」という結論を出したがるという精神構造を持っている。だから決断を先延ばしにして、事態を悪化させてしまうのだ(41ページ)
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「あえてリセットする勇気を持ってほしい」というわけです。

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コンサルタントとして、会社の幹部と話をしているときに一番気になるのが、「それはうちの会社では無理でしょう」とか「上が納得するわけがないからダメでしょう」という言葉である。戦略立案において、「あれもダメ、これもダメ」「では、残った手はなんだ?」というような思考法をしていたら、いつまでたっても現状打破など不可能なのだ。社内の人間はどうしても会社の空気や部署間の権限の問題などというバイアスがかかって、直裁な手段がとれないという傾向が強い。(53ページ)
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「何ができないか」を考える前に「何ができるか」を考えなさいというわけです。

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いくら原価を下げる努力をしても、販売面において、同じ個数を売っただけでは効果は知れている。利益というものはマージンと個数の積であるから、コストを下げると同時に販売個数を上げる努力が必要となる。(105ページ)
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具体的に計算してみなさい、と大前さんは言います。
たとえば、5%原価を減らし、1割ばかり売上個数を増やすだけでも、粗利を32%増やすことができる、というわけです。

できるビジネスパースンならこのくらいの比較計算を瞬時にできないといけないのです。(CHPのみなさん!聞いてますかぁ!)

みんなで頑張ろう、なんて精神論より具体的な戦略的思考です。

みなさんの成績が上がってボーナスが上がりますように。

 

 

 

 

『成功のコンセプト』(2012.10.7 tanakomo

 

今日は(おお、書いているうちに昨日になってしまった)某企業さんでビジネス研修でした。

そこで「みなさん、こんな本もあるので、よかったら読んでみてくださいね」と紹介した本をアップします。

ご存知、楽天株式会社代表取締役会長兼社長の三木谷さんの本です。

個人的にはあまり好きじゃないんですが、書いてあることは至極まっとうな内容です。やる気のあるビジネスパースン(もちろん学生だって就職前に読んでおくといい)にお勧め。

ぜひ以下をクリックして内容紹介だけでも読んでみてください。

そして、この本の良さは「薄さ」。これを読み通せない人は、世の中のビジネス書といわれるものには手を出さない方がいいと思う・・・。

そして安い!!(コンビニの弁当くらいの金額で「仕事の哲学」が学べる)

フナツがおもしろいなと思ったところをちょっと紹介しますね。

この本の<第一のコンセプト「常に改善、常に前進」>にも紹介されていますが、「改善」という言葉を世界に輸出したのはトヨタで、カイゼンという単語は英語の辞書にも載っています。

ジーニアス英和大辞典より、
kaizen
名詞カイゼン(改善)<生産工程などの絶えざる改善・効率化;1980年代日本の自動車産業の高い生産性の要因と見なされた>

以下、少しこの本から引用しますね。

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 トヨタの成功は欧米人の目には奇跡と映ったに違いない。欧米の多くの学者がトヨタのシステムを徹底的に研究したことからもそれは明らかだ。トヨタの秘密を解明していく過程で、成功のエッセンスのひとつとして抽出されたのが、カイゼンという彼らにとっては新しい概念だったというわけだ。
 けれど、僕たち日本人にとって、改善は別に新しい概念ではない。
 ある人からこんな話を聞いたことがある。江戸時代の剣術のある流派の奥義書を開いてみたら、たった一言こう書かれていたそうだ。
『今日の我は、昨日の我に勝つ』
なるほどなと思う。もし本当にそれができたら、人はいつか超人になれるのだ。
 改善なんて言葉を持ち出すと、古臭いと言う人もいる。
 だが真理には、新しいも古いもない。人類が地球上に出現してから何億回太陽が昇ろうとも、日の出を見て古いなどと言う人はいないのだ。(33ページ)

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三木谷さん曰く、「改善は凡人が天才になる方法」。

日を改めて他のビジネス書も紹介しますね。

 

 

 

 

『「自己啓発病」社会』(2012.8.15 tanakomo

 

先日アップした『ビジネス書を読んでも〜』と同じようなテーマの本です。

著者は、『突破者』(新潮文庫)で一躍有名になった宮崎学さんです。

ご存知の方も多いと思いますが、お父さんがヤクザ、本人も破天荒な生き方で、まさにアウトローを地でいっている人ですが、いろいろなところで書かれているエッセイや記事などを読むと至極まっとうな(うんうんホントにそうだ、と思わずうなずいてしまうような)ことを書かれていて(いろんな書き手がいろんなしがらみで思うことを書けないという現在の状況もあると思いますが)フナツは好きです。

以下で述べますが、この本でもちゃんと原著を読み込み、さらにきちんと勉強されているのだなと思わせる箇所が随所に出てきます。

まずは、本の帯から紹介しますね。
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誰も気づかなかった「スキルアップ」「夢」「成功」の虚妄!
MBA、英語力、法科大学院、IT技術・・・・、国民総「ポジティブ・バカ」時代が、“さもしい社会”を生んだ。日本人の精神の貧困を、いま問い糾す!
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言ってくれますねぇ・・。

本の題名もいいでしょ?
著者は「自己啓発」にとりつかれた様を“病”だというわけです。

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 いま、この国に氾濫する「自己啓発」ブームという現象に、私は大いなる違和感を懐いている。とりわけ、この現象の中心にある「差別化」なる言葉に対してである。
 この言葉を私なりに解釈すると ー 他人と同じことをしていては競争に勝てない。だから他人と違うところが人にわかるように努力しなくてはいけない。もっとはっきり言うと、地位と財を得る競争に勝つためには他人を蹴落としてでも前に進め、というのが、この「差別化」の意味するところだ。そして、そのために「自己啓発」に励み、他人より優位に立つためのスキルを身につけろ、というものなのである。(4ページ、まえがき)
* ***

さらに、<自己中心の損得と合理性を突き詰めれば、そこには「情」などが存在できない無味乾燥な社会が生まれてくる>と著者は言います。<本書は、この「自己啓発」を推し進める論者たちの根底にある「論理」と「精神」の貧困を批判したものである>というわけです。

そして、著者はその批判の論拠として、自己啓発ブームの発端となった書、自己啓発・スキルアップを説く人々の精神的支柱となっている著名な、スマイルズの『セルフ・ヘルプ』日本語題名『自助論』の読まれ方について実に的確な指摘をしています。

表紙裏の一文を紹介します(今日は引用が多いぞ、でもいいこと言ってるから・・)
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 「失われた20年」と軌を一にするように、日本人の間で自己啓発ブームが巻き起こった。合い言葉は「セルフヘルプ」、「スキルアップ」、「夢をかなえる」・・・・。このブームを支えたのが『自助論』という翻訳書だ。彼ら自己啓発に励む日本人は、同書をバイブルとして崇め立てた。
 だが、そのバイブルは、実は抄訳であり、原著(完全訳)の持つ精神を損ない、たんなる成功のためのハウツー集になっていることに気づく人は少ない。日本人は、いわば「ゆがめられた自助」を盲信してきたのだ。
 自己啓発ブームの結果、格差は拡大し、「あきらめ感」が蔓延した。現代日本の社会病理を徹底的に解剖する。
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著者は、小泉構造改革以降の新自由主義的経済思想に遡って語り始めます。

・「バナナ野郎」こと竹中平蔵の思想、という一節からちょっと引用してみましょう。

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「金持ちを貧乏人にしたところで、貧乏人が金持ちになるわけではない」というのが竹中の持論だ。高い所得を得ている人がいることはいいことであり、みんなそうなろうとすべきだ、そうなろうといくら努力してもなれずに貧しいままだという人たちに対してだけ社会的な救済を考えるべきだ、そんな努力をしないで救済にすがろうという連中をなくさなければならない、というわけである。
 これはこれで一貫している。そして、これは竹中のオリジナルではなくて、サッチャー、レーガン以降のアングロサクソン新自由主義の完全な受け売りにすぎない。そもそも「金持ちを貧乏人にしたところで・・・」という言いぐさ自体がサッチャーの口移しなのだ。竹中が、自民党の伝統保守の連中から「あいつは外の皮は黄色いが中身は白い」というので「バナナ野郎」と罵られた所以である。(42〜43ページ)
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こういう考え方は日本には合わない、と著者は言います。伝統的な個人主義や自由主義を基盤とする欧米社会では、こういう新自由主義の考え方もありうるが、個人主義も自由主義もなかった日本に新自由主義が受け入れられることはないと。

しかしバブル崩壊後の閉塞状況で、現状打破のイメージで受け入れられた小泉首相の登場とともに、こうした思想に目新しさが感じられ、そして「自分でできるものは自分でやれ」ということで「自助」が、若者をはじめ多くの日本人におしつけられた、というわけです。そして日本人は懸命に自己啓発にいそしむようになった、と・・。

その結果どうなったのか、みんなそれなりの成功と幸福をゲットしたのか?そうはならなかったのは、著者の指摘を読まなくてもみなさんもよくわかっていると思います。

所得は下がり続け、雇用は不安定、年金はどうなる?ってわけです。

結局は「負け組」層が日本社会の主流になってしまっている現実がある、と著者は述べます。法科大学院、TOEIC、MBA、他さまざまな資格は「成功」につながったのか、と。

もちろん、そういった資格をとることが悪いわけじゃないです。

そうじゃなくて、資格を取ることを目的にしてはいけない、それを取るために勉強したその内容が大切で、そしてそれを仕事にどう活かすか、なんのために資格をとるのか、本人の意識がいちばん問われるのだ、と著者はある人の語りを引用しながら述べています。

ここで、非常に示唆に富むエピソードを著者は紹介しています。古い話なので「時代が違うよ」と突っ込まれそうですが・・、

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私が1965年に早稲田大学法学部に入学したとき、法社会学の授業で、教授が「君たち、勘違いしてはいけないぞ、早稲田大学法学部は、東大法学部とはまったく違うんだ。君たちは、東大生とは違って、将来労働者になって労働者として一生を終わる人間なんだ。だから、労働者に必要な法学、特に労働法をしっかり勉強しなさい」といっていたことを思い出す。この教授のいっていたとおりだ。そして、労働者で終わる人間のなかに、それなりに法の専門知識と技術がかなり大量に持ち込まれたことの意味は非常に大きかったと思うのだ。(50ページ)
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資格取得は波及効果のほうが大きいというわけです。

そして著者は、小泉純一郎が、竹中平蔵が、勝間和代が、大川隆法が、その他いろいろな人が礼賛する、スマイルズ『自助論』竹内均訳の詳細な検討に入るわけです。

始めにも書いたように、竹内均の翻訳は実は「部分訳」であり、それを日本の読者は「成功ノウハウ本」として「ビジネス金言集」として読んでいる、竹内訳はそういう仕立てになっている、と指摘し、改めてスマイルズの全訳『西国立志編』の内容、そしてこの本が明治の知識人、さらに当時の若者に与えた影響を探っていきます。

フナツの研究とも重なるこのあたりからはとても興味深く読みました。

ああ、止まらない・・。
どんどん書いていきそうなのでこのくらいにします。

決して宮崎さんの意見にフナツは100%の同意を示しているわけではありませんが、指摘のひとつひとつにはうなずかされます。

ぜひ、じっくり読んで頂いて、206ページ<「セルフヘルプ」を越えて>以降の宮崎さんの結論を噛み締めてください。

「資格だけじゃだめ、自己啓発もうさんくさい、となると、じゃどうすればいいの?」という質問は至極当然です。

答えは自分で見つける、って言っても大変だから、こういう本を参考にしてくださいね。

 

 

 

 

『ビジネス書を読んでもデキる人にはなれない』(2012.8.10 tanakomo

 

すごく面白い本を見つけました!

題名を見てもらえばわかると思いますが、世に溢れるビジネス書と、出版不況の中、そのような本に頼らざるを得ない出版業界の裏事情。さらに、そういった本に振り回される読者の実態や、執筆者たちのギラギラとした自己顕示欲(著者は「ビジネス書村の住人」という書き方をしています、おつきあいが大変そう・・)などなどが具体的に書かれています。

おもしろくて一気に読んでしまいました(というか、本屋さんで半分くらい立ち読みしちゃって、これは買おうと思い、帰りの電車と待ち合わせの時間で全部読んじゃった)。

著者は、<ビジネス書は「栄養ドリンク」みないなもの、一時的に血糖値を上げ“やる気”にさせてくれるが、医学的効果は果たしてどうなのか>と書きます。

ははは、いいこと言うね。

フナツも仕事柄、実にたくさんのビジネス書や「自己啓発」書、そしてマーケティング関連本や経営者の本などを読んできました。

たくさんあるんだから玉石混淆は当たり前だと思っていますが、いやはや、最近「石」の多いこと・・ホント嫌になるくらい・・。

「石」をつかまされるのは嫌だから、本屋さんでけっこう立ち読みしちゃって(申し訳ない!)内容を吟味して買うんですけど、最近やたらビジネス雑誌が「ビジネスマンが読むべきビジネス書」特集とか、「○億稼ぐ人の読書術」なんて特集をやるもんだから、題名だけで選んじゃったり、その記事の中の解説でうまいこと書いてあると、読まずに注文してしまうんですよね。

最近、よくそういう雑誌の特集の中にフナツがすでに読んだ本が出てきて、「お!」とか思って解説を読むと「こいつ(解説を書いている人)、この本読んでねぇだろ」というのが見え見えという解説もあるので気をつけようと思ってはいるのですが、最近の出版社は題名をつけたりキャッチコピーがとても上手なので(出版社も著者も当然マーケティングのお勉強をしているので)ついつい(インターネットで)買ってしまうんですね。

こういう雑誌にはちょっと腹がたちます。ライターやってた人からその昔聞いたことがあるのですが、旅行雑誌にハワイの記事を書く時に、ライター本人はハワイに一度も行ったことがないのに、既出本のハワイの記事を集めてそれらしく書いたらそれでOKだった、という話を思い出しました。

考えてみれば、ビジネス書は、本が売れないと嘆く出版界の「救世主」だろうし、不況だからこそ「ビジネス書は売れる」ってわけですから、どこも競って出しているんでしょうね・・。勝間和代さんの活躍や、「もしドラ」の爆発的ヒットを見たら、どこだって「ウチも!」となるのは不思議じゃない。

まあそういった第1章から第3章までの裏話はおいといて、第4章「ビジネス書に振り回される人々」で、はたして自分はどうかな?と考え、そして第5章の「“そこそこ”賢いビジネス書とのつき合い方」で、これから「ビジネス書」とどうつきあっていくかを模索するといいと思います。

本屋さんでぜひこの本の<目次>だけでも読んでみてください!!

 

 

 

 

『製造業が日本を滅ぼす』(2012.7.12 tanakomo

 

けっこう刺激的な題名だと思いませんか?

先日のビジネス研修で紹介した本です。

日本は「ものづくり大国」であり「輸出主導」で「経済成長を目指す国」であり「円高」だから経済が不調なのだ、というのが定説ですが、もうそれではだめだと野口先生は言うわけです。

たとえばいくつか紹介します。

第一章「日本の輸出立国は大震災で終わった」
大震災以降、輸出はもう以前の水準には戻らない、貿易収支は赤字が定着する、赤字といっても損をしているわけじゃなく、輸出より輸入のほうが多くなっただけ、となれば円高のほうがいい。今さら円安に戻ったらますます経済が不調になる。

第二章「日本の貿易構造は変化している」
日本の自動車産業は補助金頼みで「農業化」している、電機産業も韓国や台湾に押され世界では負け、国内で売れている電気製品も実は海外でのOEM生産に切り替わっていて「輸入品」になっている現状。さらにエネルギーを大量に使うような装置産業が日本に残っていいのか?という問題がある。

第三章「電力問題に制約される日本経済」
原発に対する拒否反応が大きくなれば火力発電に戻らざるを得ない、そうすれば原油や液化天然ガスの輸入が増える(ますます円高でないと困る)、そして電気料金が引き上げられれば企業利益が減る、工場の海外移転も加速する。製造業に頼っていても雇用は確保されない。

うう、きりがないのでこのくらいにします。

①円安には戻らない、②電気料金が(大幅に)上がるかも、③製造業が日本に残ってもそんなにいいことはない、④貿易赤字という状態が続く(つまり以前の水準まで自動車産業や電機産業の輸出が増えるわけではない)という前提で御社のこれからを考えてください、という質問をぶつけて、某会社の中間管理職の方々に考えてもらうというワークを先日のビジネス研修でやりました。

いつものごとく、この本に書いてあることにすべて賛同するわけじゃありませんが、そろそろみなさんもこういった前提でご自分の会社の行く末を考えてみてはいかが?

 

 

 

 

『日本は世界一の環境エネルギー大国』(2012.6.28 tanakomo)

 

原発問題で揺れている今こそ、こういった本で「エネルギーをどうするのか」ということを各自が考えたいものです。

ぜひクリックして本の内容紹介を読んでみてください。

 

ほんとうにこんなふうならいいんだけど、既得権益を持つ人たちが新しいエネルギーの台頭を許さないという構図もあるので、人の世代交代と同じくエネルギーの世代交代も進んでほしいですね。

 

 

 

 

『世界で勝負する仕事術』(2012.5.31 tanakomo

 

この本はまず、最近<はずれ>があまりない幻冬社新書であること、著者の略歴が興味深いこと(東芝の技術者で、スタンフォードでMBAを取得し、東大の准教授を経て、現在は中央大学理工学部の教授をされておられます)
さらに、著者がIT業界では最先端のフラッシュメモリーの研究者であることから、技術的な内容を含むエンジニアの本かなとは思いながらも買ってしまいました。

題名にも惹かれたかな・・。

そして、読んでみて思ったのは、理系の部分をほとんど持ち合わせない文系の私でもおもしろかったということです。

著者はあとがきに以下のように書いています。

「この本は、エンジニアやエンジニアを志す人たちだけでなく、文系の人や事務的な仕事をする人たちに向けても書いたつもりです。エピソードは一人の技術者が経験したことにすぎないのですが、仕事に対する考え方に、理系・文系の違いはないでしょう」

著者は、経歴だけ見れば華やかなエリート人生を送っているようなイメージがありますが、けっこう泥臭いこともやっています。そのときどきの地位や状況に安住することなく、頭も身体もフル回転して仕事に打ち込んでいます。一生懸命、光を求めて、もがいているといってもいいくらいです。

研究者であり、技術者であり、MBAを取得したマーケティングやマネージメントができる人材であり、という順風満帆な人生のように見えながらも、安定志向ではなく、絶えず考えながら動いている人、この本は、そんな人が書いたひとつの「仕事論」といってもいいでしょう。

技術者が、ビジネスマンが、学生でさえも何がしかのヒントが見つかりそうな本といってもいいです。

 

 

 

 

『スベらない商談力』(2012.5.13 tanakomo

 

この本は題名でちょっと損をしているとフナツは思います。

誰が考えたのかなぁ・・、売らんかなという視点で人気テレビの題名から編集者あたりが流用したのかな??

あるクライアントの方から教えてもらった本で、ちょっと題名がカルいですが、内容はしごくまともです。

著者はもとP&G(プロクター&ギャンブル)のトップ営業マンで、やはりアメリカ本社のトップ営業マンであり、現在は世界的なトップトレーナーをされている方から教わった具体的な、そして最も効率的な商談方法をこの本の中で紹介しています。

アメリカ発のコミュニケーションスキルでありトレーニングらしく、日本の営業本にありがちな精神論に傾かない、具体的かつ実践的な内容です。

もちろん、効率的に商談を成功に導くためには、相手との信頼関係構築が大事なのですが、相手に信頼してもらうには、自分のこと・自社の商品の詳しい説明をするのではなく「相手の話をひたすら聞くことである」という部分が特に心に残りました。

だから営業は口べたでもOK!!ってわけですね。

他にも相手の本音を引き出す具体的な8つのステップとかおもしろいですよ。「自分が一番言いたいことは相手の口から語らせると」かね。

どうもお客さんのところでうまく話せない、なんて悩んでいる営業マン・ウーマンの方々、なかなかいい本ですよ。

もちろん、就活してる皆さんにもお勧めです。

 

 

 

 

『ノマドライフ』(2012.4.18 tanakomo

副題が「好きな場所に住んで自由に働くために、やっておくべきこと」です。

著者の本田さんは、ハワイと東京に住まいを持ち、さまざまな国に移動しながら仕事をしている人です。
フランスの経済学者ジャック・アタリが指摘する、世界中どこにいても自ら仕事を創出し、制約のない働き方を実現させている「ハイパーノマド」ですね。

まず本田さんは以下のようにノマドを解説します。
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最近、日本でも「ノマド(nomad)」という言葉が注目を集めています。もともとは遊牧民をさす言葉でしたが、今では新しい生き方を称するときに使われています。わたしは、ノマドというのは単なる「場所にとらわれない働き方」ではない、とも考えています。(4ページ)
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そして、次のように「ノマドライフ」を定義します。
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仕事と遊びの垣根のない、世界中どこでも収入を得られるノマドビジネスを構築し、2カ所以上を移動しながら、快適な場所で生活と仕事をすることで、クリエイティビティや効率性、思考の柔軟性が向上し、それがいいスパイラルになるライフスタイル。(6ページ)
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もちろん、会社を辞めればいいという話でもないし、金持ちだからできるんだよ、でもないです。
会社という枠からただ飛び出しても、何も計画がなくてはただのフリーターだし、お金や資産があっても身動きできない人はたくさんいます。

この本で本田さんは、ノマドライフをめざすための計画の立て方や思考の切り替え方、実践の仕方などを解説しています。
東京とハワイに家があってグローバルに仕事を、なんて聞くとお金持ちか限られた職業かと思ってしまいますが、著者の本田さんは、この生活を手に入れるための準備期間は15年以上と述べています。
決して現実世界からの逃避でもユートピアを目指すわけでもなく、ワークスタイルやライフスタイルを豊かにすることなんですね。

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人生を仕事かプライベートかといった従来の区分けで考えるのをやめて、自分らしさを追求すること。大いに楽しみながら、ビジネスでも「自分にとっての満足できる成果」をあげていくこと。(10ページ)
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というわけです。

ホントに目指せたらいいな、と思いませんか?
フナツも思います、というかずっと前から計画しています。

やたらリストラの話がニュースで飛び交ったり、口を開けば日本経済がどうのとか、いい会社に入って頑張っても幸せにならないだとか、そんな閉塞感あふれる日本でこういう本が売れるのももっともだと思いますが、モノやお金にとらわれないで自分の人生を楽しみたいという人が増えていると思います。

 

 

 

 

『部下を持つ人のコーチング』(2012.4.12 tanakomo

 

フナツは企業研修でコーチングもやってますが、ある人からすぐ読めるやさしいコーチングの本ないですかと聞かれたので、アップします。
世の中に「コーチング」関係の本はたくさんありますし、資格を持った方もたくさんいて、研修もさまざまに実施されています。
もちろん、この本がベストというわけではなく、読みやすくコンパクトだということで選びました。
そして当然のことですが「いいこと書いてあるな」で終わらせずに、「実践」することが大事なんですけどね。

 

 

 

 

『僕は君たちに武器を配りたい』(2012.3.24 tanakomo

 

先日、この人の他の本を本屋さんで見つけて、おもしろそうだなと思い買って帰ったところ、なんとこの本を家人が買っていました。
同じ日に同じ人の本が2冊手元に出現したということで、偶然ですが「読んだほうがいいよ」と言われているようで、はい、早速まずこちらから一気読みです。

京都大学でビジネス関連講座をお持ちの方です。
肩書きは「京都大学客員准教授」です。「客員」というのは、正規の(京都大学の)職員ではないということですが、教室から学生があふれるほどの人気講座らしいです。
それもそのはず、普通の大人が教えてくれないビジネスの裏側を教えてくれる先生です。読めば読むほど、こんなこと授業で語る先生は大学には普通いないだろうなと思います。
もとマッキンゼーのコンサルタントで、現在は投資家っていうんだから、普通の大学の先生とは対極にいる人です。そりゃ普通の大学の講座よりはおもしろいぜって感じです。
とてもためになるいい本です。
若い人のために推薦したい一冊。
各章の最後に大きい文字で書かれている「武器」だけでも本屋さんで立ち読みするといい。

でもなあ(ごめんなさい、このブログには否定的なことは書かない約束ですが)、こういう経歴の人なら、賢いけど世間擦れしていない、初心な京大生を籠絡する(おっと失礼!)のは簡単だろうなぁ。


ビジネスってものがよくわかっていて、まさにこれからの時代を生き抜くための鉄則とか情報がてんこ盛りの本なんですが、ホントいい本なんですが(なんか奥歯に物が挟まったような言い方ですいません)、勉強ばかりしてきた純情な京大生をこの人の価値観のみで染めるのはちょっと酷かなという気もします

 

高速道路で混んでいるときに側道走るとスイスイ行けるけど、それはちゃんとみんなが走行車線で待機しているという条件付きの話ですよね。みんなが側道走り始めたら結局混んじゃう。(ははは、なぜこんなこと書いたか推測してください)

 

なぜフナツがこのようなOMH(奥歯に物がはさまったよう)な言い方をするのか、ぜひ読んで確かめてみてくださいね。


現代社会を生き抜くノウハウ本として、普通のビジネスマンにもお勧めです。ぜひ内容情報をクリックしてね。

 

 

 

 

『クラウド「超」仕事法』(2012.2.16 tanakomo

 

ちょっと評価が分かれる本かもしれません。
内容はぎっしり詰まっているし、著者は『「超」整理法』『「超」仕事法』などでミリオンセラーを連発しています。大蔵省主計局という日本で一番強力な組織で働き、一橋、東大、早稲田の教授も歴任した実績をお持ちで、インターネットによって、そしてクラウドによっていかに社会やビジネスマンの仕事が変わっていくかについての考察は、やはりさすがと思わせます。
ただ、やっぱり考えがちょっと古いというか、ホント大変失礼な言い方なのですが、ちょっとオジサン思考なのですね(あー、年齢的にはオジサンのフナツがこんなこと言ってもいいものかと思いますが、オジサンだからオジサンの思考がわかると思ってください)。
人生の過程においてインターネットによる変化(洗礼)を受け、その劇的な変化を実感しながら自分の仕事を無理矢理フィットさせてきた人(オジサン)と、もうすでに変化した後で、つまりアプリオリにその変化後の世界にフィットしている(したかどうかもわからないくらいに最初からコミットしている)人(ワカモノ)とは、現在の状況の理解の仕方、及び解説の書き方も違うということです。
デカいスーパーコンピュータの時代から、IBMの汎用コンピュータ、そしてNECの打ち込み式「9801」、そしてマイクロソフトのMS-DOS、さらに、Let’s NoteやDynabookといったノートパソコンを経て、スマートフォンという長い長い変遷(年月にすればあっという間だったけど)の歴史にその都度自分の頭を切り替えてきた(切り替えさせられてきた)オジサンと、最初に与えられたコミュニケーションツールがスマホという世代ではもういわゆる「言語」が違うような気がします。
ああ、くどいですね。
簡単に言えば、この本は、ある程度の年齢のビジネスパースンにはおもしろく読めるし、とても有用であるということです。
若い人には「現代のインターネット事情とクラウドの利用法の考察」という観点から読めばとてもおもしろいです。
アップルが無料で提供しているi-cloudについての言及が少ないかなという気がしますが、まあこういった本はアップトゥデイトということで。
でも、それを抜きにしても自分の仕事にいかにインターネットとクラウドを活用するかに関しての、「これでもか」的な記述は参考になりました。
内容はクリックして読んでくださいね。

結論、ぜひ40〜50代(30〜60代でもいい)のビジネスマンに読んでほしいと思います。

 

せっかくですから、野口先生の考察と蘊蓄をさきほどの本の「おわりに」から少し紹介します。

まず「おわりに」の見出しが「ジョブズとリーバイス―ゴールドラッシュの再来」です。
え?インターネットとクラウドということで、ジョブズの名前はわかるけどリーバイスって?と思った人が多いでしょう。
野口先生はジョブズの死を悼んだ人が多いというところから書き始め、それはジョブズが<人々が待ち望んでいた「夢」を、彼が実現してくれたからだ>と述べます。<「夢」とは、「こんなものがあったら便利なのにな」というものである。それだけでなく、「カッコよくて、人に見せたくなる」(英語では、cool!と言いたくなる)ものだ>というわけです。(ここでウンウンとうなずくフナツ)
そして次にリーバイスのことにふれます。ちょっと長いですが引用します。

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「便利でクールなものを作り出した」という意味で、ジョブズはリーバイ・ストラウスに似ていると、私は思う。ストラウスは、19世紀カリフォルニア・ゴールドラッシュの時代に登場した企業家だ。「丈夫でポケットが破れないズボンがほしい」という金採掘者の要望に応えて、「ブルージーンズ」を作り出した。最初は、野営テント用のキャンバス地を使った。それがなくなったので、フランスニーム地方で作られるサージ serge de Nimes を使った(この布地は、その後短縮して「デニム」denimと呼ばれるようになる)。さらに、ヤコブ・デイビスのアイディアで、馬具に使っていた金属製のリベットでポケットを補強し、縫い目がほつれないようにした。
ジョブズがもうひとりのスティーブであるウォズニアックと、自宅のガレージでAppleⅡを作ったという伝説は、ストラウスとデイビスが協力してブルージーンズを作り上げた物語と重なる。この2つは、何となく雰囲気が似ているのである。
どちらも、先端的研究所の科学研究の成果で作られたものではない。どちらも、大企業の大工場で作られた製品ではない。どちらも、権威や権力とは関係がない。政治家の庇護や独占的支配力といったものとも、無縁だ。
1981年、大型コンピュータを支配する超優良企業IBMが個人用コンピュータ(PC)に乗り出したとき、アップルコンピュータは、“Welcome, IBM. Seriously”(「ようこそIBM。いや、僕は真面目だよ」)という全面広告をウォール・ストリート・ジャーナルに掲載した。ガレージ発企業の面目躍如たるものがある。
ジーンズを穿いてIBMコンピュータを操作したら、およそ場違いだ。しかし、ジーンズ姿でi-Phoneを使うのは、サマになる。この2つは同じ文化圏に生息しているのである。(294〜296ページ)
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さらに野口先生は、現代のゴールドラッシュであるi-Phoneやスマートフォンの成功に刺激されてスマホ生産に殺到してきた世界的なさまざまなメーカー(日本の会社も含む)が、19世紀の金採掘業者の末路と同じ状態になるのではないかと書きます。
PCや半導体の状況と同じだというわけですね。薄型テレビでも顕著な価格崩壊現象が起きて日本企業、特に輸出依存型製造業各社が苦しんでいるのと同じです。
システムを作らず、製品だけを作っていてもダメだということでしょう。
そして最後に、こう締めくくります。

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カリフォルニア・ゴールドラッシュの経験は、貴重な教訓をもたらした。それは「バスに乗り遅れるな」と叫んで皆と同じ方向に走れば、群衆に押しつぶされてしまう、ということである。人と同じことをするのは、失敗の始まりなのである。
ではどうしたらよいのか?その答えをストラウスが示してくれた。それは、「大勢の人が集まってきたら、彼らが必要とするものを供給すればよい」ということである。人と同じように金を掘るのではなく、「それらの人たちを掘る」ということだ。英語では、Mining the gold miners.(金採掘者を採掘する)という。
日本企業は、スマートフォンに殺到する人々やメーカーを「掘る」ビジネスを展開できるだろうか?それをできるかどうかが、日本の未来を決めるのである。(298〜299ページ)
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先日の京大入試カンニング事件にもふれ、大学入試そのものがまったくの時代遅れになっている状況や、現代の大学教育のことも書かれており、フナツはスマホ活用をビジネスに活用するためのハウツー本というより、インターネットが生活をどう変えるかという考察の本として読みました。